みなさん、こんにちは(^ ^)
わたしは看護師として、高齢者施設で勤務しているのですが、利用されている方には認知症のあるご高齢の方がたくさんおられます。
また、看護師になる前は介護士として働いていましたが、その時にもたくさんの認知症のあるご高齢の方と関わりを持ちました。
わたしが介護士だった頃、認知症研修に行ったことがありました。
そのとき「パーソン・センタード・ケア」という言葉を初めて知りました。
今回、改めてその言葉を思い出し、調べてみました。
調べてみると、そこには認知症の方だけでなく、わたしたち、「人」が深いところで求める大切なものがあるのではないかと思いました。
そこで「パーソン・センタード・ケア」という考え方を踏まえて、わたしたちが求めるものは何なのだろうと考え、記事にしてみました。
よければ、ご一読ください(^-^)
パーソン・センタード・ケアとは?
「パーソン・センタード・ケア」とは、認知症を持つ人を一人の「人」として尊重し、その人の視点や立場に立って理解して行うという認知症ケアの考え方の一つです。
これは、1980年代末に英国の心理学者トム・キッドウッド氏によって提唱されたものです。
当時の英国では、認知症を持つ方たちは、「何も分からなくなり、何もできなくなった人」と考えられ、食事や排泄、入浴などの身体的な世話をすることだけが認知症に必要なケアだと思われていたようです。
しかし、トム・キッドウッドはその考えに疑念を抱き、認知症を持つ方を膨大な時間をかけて観察しました。
それにより、その人を取り巻くコミュニケーションや人間関係が重大な影響を及ぼしていることを指摘しました。
彼は認知症を持つ方を「一人の人」として認めることを、認知症ケアで最も重視されるべきこととし、そのためには、認知症になっても、身体的ニーズだけでなく、人としての心理的ニーズが満たされる必要があると述べました。
そして、一人ひとりが唯一無二の存在であり、それぞれ異なる認知機能や身体の健康状態、性格傾向、人生歴、周囲の人間関係などを考慮し、本人とのコミュニケーションを大切にした支援をすることで、悪化しているように見える認知症の状態も改善できるかもしれないと考え、その考え方が「パーソン・センタード・ケア」の誕生につながったようです。
心理的ニーズ
トム・キッドウッドは、認知症を持つ人の「心理的ニーズ」を理解する上で、
潜在的に抱えているニーズを次のような花びら5枚の絵で表現しています。
一人の人として無条件に尊重される「愛」を中心として、
・自分らしさ
・結びつき
・たずさわること
・共にあること
・くつろぎ
のニーズが重要とされています。
このニーズは、最後まで変わることはなく、たとえ進行してもこれらが満たされれば、これらを包含する「愛」のニーズが満たされ、より良い状態となりうると考えらています。
わたしたちが求めるもの
これらは認知症ケアとして大切なこととして書いていますが、認知症がある方も「一人の人」です。
だとしたら、認知症あるなしに関わらず、わたしたちも普遍的に、潜在的に求めているものなのかもしれないなと思っています。
わたしがこの仕事を通して、たくさんのご高齢の方と関わってきた中で思ったことは、
「人は人との関わりを求めている」
ということです。
ある認知症を持つご高齢の方がいました。
その方は普段は穏やかな方でしたが、認知症状が強く出ることが多くなりました。
帰宅願望が強く、時に興奮し、手が出ることもありました。
その時、わたしは認知症研修に行っていた取り組みの一環として、スタッフの人たちに認知症ケアについての勉強会を行い、その方と毎日、たとえ5分でもその方に寄り添い、関わりを持つ時間を作ってもらいました。
すると、その方は穏やかな表情が続き、興奮することもなくなり、帰宅願望も減少しました。
そんなこともあり、「関わりがとても大切なんだ」と実感しました。
「心理的ニーズ」の一番中心にあるのは「無条件に尊重されたい」という「愛」のニーズです。
そのために、人は自分らしさを求め、結びつきを求め、安らぎを求め、何か役割を持ち、認めてもらいたいと思うのかなと思います。
人それぞれ違うということもあり、これが、全員に当てはまることかどうかは分からないのですが、共通する部分もあるのかなとも思います。
この「パーソン・センタード・ケア」の考え方は、人を理解する上で重要で、これからも大切にしていきたいなと思いました。
「人にとって、大切なことは何なのだろう?」と仕事やプライベートを通じて、またいろんな方の考え方を知って、考えていきたいなと思いました(^-^)
では、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました♪